プロローグ

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「ふむ、確かにそれは無視できませんね。  花であっても言語を理解し、人格を持っているのですから。  彼ら、いや彼女たちでしょうか。  直接話をして許可を得られればいいのですが」  それきり、バスさんは黙り込んでしまった。 「あの、バスさん?」 「喋ってくれないんですよね。  先程から」 「……あ。  確かに静かですね。  普段はうるさいくらいなのに。  どうしてだろう?」 「知りたいー?」 「知りたいのー?」 「おっと、喋りましたね」 「言われなくたって知りたいわよ。  あなたたち、どうして急に黙り込んじゃったの。  気味が悪いんだけど」 「それはねー?」 「うふふ、それはねー?」 「もったいぶらないの」 「空気を読んでたのよー」 「そうよ、空気を読んでたのよー」 「……は?」  意味が分からない。 「おや。  これは……その、困りましたね」 「バスさん?」 「モニクさん……いえ、何でもありませんよ。  それよりお花さん。  私たちの会話は聞いていましたよね?」 「聞いていたわよー」 「バッチリ聞いていたわよー」 「それなら、その花壇からお引越ししたい方はいらっしゃいませんか?」 「私ー!」 「私もー!」 「私だってー!」 「おやおや、引く手あまたと言うやつですね。  いや、この場合は少し違うか」 「とりあえずお花たちはオッケーみたいですね。  バスさん、どの子でも構いませんよ。  お譲りします」
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