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「それは大変でしたね。
ケガはありませんでしたか?」
「ケガはないけど怖かったぁ。
バス、代わりにあーしを抱いてよぉ」
「それはできません。
あなたは大切な従業員。
言い換えれば商品なのですから」
「そんなに大切なら抱いてよぉ」
「だからそれはできないと」
パリィン
手にしていた小鉢を落として割ってしまった。
その割れた音でバスさんが振り向く。
彼はワタシに気がつくと優しく微笑み、控えめに手を挙げて会釈した。
そのまま何も言わずに歩いて行く。
やましいドレスの女を連れたまま、どこかへ歩いて去って行く。
何だろう、この気持ち。
胃がムカムカするような。
「あらー」
「あらあらー」
「残念ねー」
「そうねー」
一体何が残念なのよ。
お花たちが何を言いたいのか、ワタシには分からないままだった。
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