プロローグ

8/8

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「それは大変でしたね。  ケガはありませんでしたか?」 「ケガはないけど怖かったぁ。  バス、代わりにあーしを抱いてよぉ」 「それはできません。  あなたは大切な従業員。  言い換えれば商品なのですから」 「そんなに大切なら抱いてよぉ」 「だからそれはできないと」  パリィン  手にしていた小鉢を落として割ってしまった。  その割れた音でバスさんが振り向く。  彼はワタシに気がつくと優しく微笑み、控えめに手を挙げて会釈した。  そのまま何も言わずに歩いて行く。  やましいドレスの女を連れたまま、どこかへ歩いて去って行く。  何だろう、この気持ち。  胃がムカムカするような。 「あらー」 「あらあらー」 「残念ねー」 「そうねー」  一体何が残念なのよ。  お花たちが何を言いたいのか、ワタシには分からないままだった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加