セイレンインマ!?

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セイレンインマ!?

 初めてバスさんに会った日の夜。  寝室のドアがノックされて目が覚めた。  コン、コンと弱く、間をおいた2回のノック。  誰だろう。  お父様かお母様か。  ときに、この寝室にカギは設けられていない。  その気になれば一方的に押し入る事もできるはず。  それなのに、ドアの向こうにいる誰かさんはノックをした。  戸惑っているともう一度、コン、コン。 「どうぞ……」  つい許可を出してしまった。  ただ、侵入者ならわざわざノックなんかしない。  むしろ忍び込む方が合理的だ。  だからワタシはあまり警戒していなかった。  ドアがゆっくりと開かれる。 「夜分遅くに失礼します」 「……バスさん!?」 「名前を覚えていてくれたんですね。  そう、私はバスです。  モニクさんとは、今朝孤児院で会いましたね」 「あの、どうしてここに……。  この部屋はともかくとして、玄関にはカギがかかっていたはず」 「どうか落ち着いてください。  今モニクさんがいるのはあなた自身の夢の中なのです。  現実のあなたの家にお邪魔しているのではありません」 「夢……?」 「はい、夢です。  試しにご自分の頬でもつねってみてください」 「……痛く、ない?」 「信じていただけましたか?」  まだ、少し信じられない。  でも夢にしては妙にリアルだ。 「早速ですがモニクさん」 「はい」 「あなた……私に恋をしてしまいましたね」 「……え?」
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