そして満ちる月

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 頬が緩んだ私をちらりと見て、上坂は小さく言った。 「先に言っとくけど……うち来たら、朝まで帰さないよ?」 「あ、時間なら大丈夫。私も今、一人暮らしだから」  大学に入って2年は、実家から通ってた。けれど、実習や実験が増えるにしたがって帰宅時間が遅くなるのを家のみんなが心配して、ついに3年になる時に追い出されるように一人暮らしを始めた。2時間以上の通学時間がなくなったのは、想像以上に体が楽になった。電車で寝ちゃうこともしょっちゅうだったから、やっぱりしんどかったんだろうなあ、私。  笑んで答えたら、上坂が真面目な顔で私を見返した。 「そうじゃなくて……男の部屋で朝まで過ごす意味、分かってる?」 「意味、って……なにが…………」  一瞬、まぬけな顔をしてしまった後、ふいに気づいた。  ……あ、ああああああ! そういうこと!   さっきの比ではないほどに頬が熱くなる。

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