第3章 幕末に降臨した魔物

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吉川雅美が一歩前に出て来た事で、山南敬助と土方歳三は顔を見合せた後。 「おいおい、我々もなめられたものだな、なっ山南さん」 「ええ、我々は壬生浪士組の中でも腕前は上の方なのですがね、それだけ自信があるのでしょう」 と、山南敬助と土方歳三が言うが、そうな2人に吉川雅美が、不敵な笑みを浮かべ。 「相手は2人。あなたたちは、さっきの長州藩邸での私たちの戦いを見ていたのでしょ。なら、私たちがどれほどの力を持っているかお分かりのはずよ」 と言う吉川雅美の表情は、明らかに人の表情ではなく、見ているだけで背筋が凍る表情で、しかも長州藩邸での出来事を見知っているだけに、山南敬助と土方歳三は脂汗を全身にかき「殺られる」と、2人は覚悟していた。 そうな中、後方の幸彦が声をかける。 「一応、お2人の名を聞いておきましょう。お2人の名は?」 と、幸彦が山南敬助と土方歳三に問いかける。 すると…。 「…拙者は壬生浪士組の副局長の山南敬助です」 「…拙者は同じく壬生浪士組の副局長の土方歳三だ」 と、山南敬助と土方歳三が名乗る。 すると、幸彦は「へぇ~お2人が山南敬助さんと土方歳三さん、会えるなんて光栄だ」と、嬉しいそうに言うが、その目は妖しく光る。 幸彦自身も気付かないうちに、全身に魔物に支配されていて、体中から妖気を放っていた。 そんな中、吉川雅美と山南敬助、土方歳三の戦いが開始それる。 腰の太刀を抜いた山南敬助と土方歳三は、吉川雅美との間合いを計り、そして2人は目配せして、山南敬助が吉川雅美の正面に、土方歳三が背後に回り込み、2人で吉川雅美を挟み撃ちにする構えである。
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