第3章 幕末に降臨した魔物

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京の町を抜け、幸彦らは嵐山の方へ向かっていたが、その途中、保津川を渡る手前辺りで。 「お待ち下さい我々は付けられているようです」 そう田之上祐司が言い、吉川雅美が付けて来ている奴らに気付かれぬよう見分すると、確かに付けている侍が2人いた。 「何処ぞの侍が2人、如何いたしますか?」 と、幸彦に問いかける。 すると幸彦は「ちょっと遊んでやろう」と言と、本田保志が「ならば我らにお任せを湯水様の手をわずらわせる必要はありません」と言ったので「わかった任せる」と応じ、そして本田保志、吉川雅美、田之上祐司が振り返り、後を付けて来た山南敬助と土方歳三の前に立ちはだかった。 「チッ気付かれていたようだ!」 と、土方歳三が吐き捨てるように言うと、山南敬助が土方歳三に問いかける。「如何いたします、逃げますか?」 「さっきの奴らの戦い方を見ていただろう。奴らが待ち構える形で、逃げられると思うか?」 山南敬助の問いかけに、土方歳三が逆に問いかけ、これ山南敬助は。 「同感です」 と、返答した事で、土方歳三が苦笑いを浮かべ。 「お前は本当に冷静な奴だな。さすがは近藤さんの知恵袋だよ」 至って冷静な山南敬助を見て、土方歳三は皮肉を込め言い、これに山南敬助は冷静に。 「皮肉ですか…私は内心ドキドキしているんですが」 そう言うと、土方歳三は。 「内面は分からないが表情は冷静に見えるぜ」 と、笑みを浮かべ言った。 そんなやり取りを山南敬助と土方歳三がしていると、吉川雅美が一歩前に出て、そして山南敬助と土方歳三を見詰めながら言う。 「私1人にやらせてよ。相手は2人だけ出しね」 そう言うと、本田保志と田之上祐司は頷き、吉川雅美に任せる事にした。
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