第三章 ミスターパーフェクトの恋

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 遠目に、言われた子を観察する。あ、駄目だ、あの子はバリバリのタチだ。俺の勘がそう言っている。流石に、バリバリのタチとは合わない。俺もタチだからだ。それも、バリバリの。  なら、もう一人の子かな。誰も相手にしない、と言う事は、浮気の心配が無い、と言う事でもある。理想的だ。タチでも、まあ、良いさ。タチ同士でも相性が良ければ問題は無い。上手く導けば、ネコに出来るかもしれないし。  恐らく染めて無いだろう髪、空調に煽られてもさらさらと揺れていて、悪くない。ちょっと猫背ぎみの肩から背中のラインは、理想的だな。後背位が楽しみなタイプだ。尻も大き過ぎず小さ過ぎず、俺の手に納まりが良さそうだ。さて、顔は。 「ここ、良いかな?」  取り合えず、声を掛けてみる。 「他、空いてますけど」  素気無い答えに、心の琴線が震えた。俺は、こう言うタイプに、本当に弱い。いわゆるツンデレって奴か。 「あっ、えっ、あっ! 空いてます空いてます!!」 「ミツキ!」  咎める声は、高くも無く低くも無く、ちょっと鼻に掛かった声だった。好みだな、とまたも良いポイントが溜まって、俺の胸が期待に高鳴る。 「空いてるんだから、良いじゃん! あ、良かったら、こっちにどうぞ!」  ミツキ、と言うらしい、もう一人に、手招きまでされたが、君じゃない、と思った。多分、彼は、良い友達になれるタイプだが、俺は、今日、友達を求めにここに来た訳じゃ無い。
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