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何が正しくて、何が正しくないのか。 何が悪くて、何が悪くないのか。 海を閉じ込めた個室の空気は冷たく、室内にいる男女合わせた三人は皆言葉を押し殺した。 被害にあった子供達の取り調べは簡素なものに終わるはずだったが、海だけ取り調べで一切の口をきかない。 死を望んでいるような。 生気のない瞳は長い時間下を向き続けた。 「平川さん…」 ハイジャックを担当した刑事、平川。 その補佐で現場に着いた東城が儚く上司の名を呼ぶ。 この状況が芳しくないからこそ、話しを進めたくて平川の名を口にしてはみたが、東城の呼びかけに反応を見せず。 平川は手に持ったボールペンを何度も擦る。 異質な空気だった。 「…かえ」 ぼそっと、海が小さく口を動かす。 その、言葉とは言えない呟きに、平川がすぐに反応を示した。 「ん…?」 「帰らせて…ください」 力のないその声に、東城の目に涙が浮かぶ。 思わず手を口に当ててしまう。 「すぐ、終わらせる…」 「…」 「君達の…先生、いや…須田喜一は、何故ジャックを?」 「…どうでも、いい」 「撃たれた子とは、どんな...関係?」 問いを投げことを平川はすぐに後悔した。 この問いに対して海の答えが無言なのはわかっていたのに訊いてしまった。 それだけなら。 無言だけなら、良かったのに。 海は。 悪魔のような形相で平川を強く睨みつけた。 「帰らせろ...」 「和泉くん...」 「帰らせろよっ!!」 「落ち着いて」 「おまらがっ!!...お前らが、、早く先生を捕まえないから、、だから...」 何を恨んでいるかも分からない。 ジャックを起こした須田なのか、くるみを撃った轟なのか、助けてくれなかった警察なのか。 自分、自身なのか。 今の海は、何を言い出すのか分からなかった。 「くるみが死んだら...」 海の気持ちはわかる。 可愛いそうだと、思う。 けれど、平川が海抱いた想いは。 隠すことのできない。 怒りだった。 「みんな殺してやる...」
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