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計画は、失敗だ... 銃を構えてみた須田だったが、勿論発砲したことなど一度もない。 撃つ気もさらさらなかった。 今撃った所で計画の失敗は変わらない。 後方から警察の機動隊が迫って来るのも見えていた。 ...もう終わりだ。 もうやめよう 最初から間違ってた… …ごめん、美穂 ぱっぁああっっん!!! 何故銃声が聞こえたのか、須田には分からなかった。 どんなに計画が崩れようと生徒を傷付けるつもりはなかった。 美穂の為に更なる犠牲を増やすつもりは毛頭ない。 こうなってしまった時点で計画は失敗。 海を連れてきてしまったことが失敗だと気付くのが遅すぎた。 それでもくるみのことを考えると海の同行を許す他ない。 それでなくても幾度と無い恐怖を与えた。 今更になって自身が犯してしまった罪の重さに押し潰されそうになる。 大切な生徒を傷付け、払拭することの出来ない恐怖を、生徒の心に刻み込んだ。 どうしようもない喪失感は、須田の戦う気力を奪い、ベットで眠る美穂の姿を思い出させる。 銃声が。 聞こえるまでは。 「…な、にが」 棒立ちの海。 糸の切れた人形の様に。 倒れて動かないくるみの姿。 グランドの土が、ゆっくりと。 赤く染まる。 「な、、なんで…なんで、、」 頭の中が真っ白になって、背景が真っ黒に見えた。 ぽつんと、その真っ黒な背景の中に写る轟の銃を構えた姿。 真っ白な頭の中が一気に。 真っ赤になった。 「何故撃ったっ!!!どどろきいぃぃぃっ!!!」 須田の咆哮がグランドを揺らす。 我に返ったのか、轟は拳銃を地面に落として頭を抱え、蹲った。 「俺が、撃ったのか、、?」 轟のことなんかどうでも良かった。 くるみに近付こうと須田が走り出そうとしたのも、刹那。 須田の身体を機動隊が取り押さえた。 「動くなっ!!!」 「ちが、、違う...違うんだ。違うんだぁー和泉っ!!」 ーー美穂が、轢かれました。 ーー助ける手立ては!! ちょっと待て…待ってくれっ!!! 行くな…行くなっ!美穂ぉ!! その姿が重なる 美穂と、くるみが…重なる。 「撃つ...つもりなんて、、」 海の背中に生気がない。 ただただ、倒れているくるみを見つめる海の姿が。 異様な程。 痛々しい。 「撃つつもりなんて...なかったんだぁぁっ!!!」 届かない声の痛さ、惨さ。 須田の声になんて反応せず。 海は。 くるみを見つめ続けた。
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