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二人の青年に挟まれ、手を掴まれた女の子。
くるみと同じ制服を着ているということは、同じ「北高」の生徒だろう。
弱々しい声とは裏腹な、鼻の高いきりっとした洗礼された顔立ち。高校生とは思えない大きな胸、括れたウエスト。学校指定の黒いソックスがよく似合う細く長い脚。可愛らしいツインテールの髪型が、彼女の美人な印象に愛らしさを与えていた。
ナンパされても仕方がない可愛らしい女の子だった。
なんといったか、あの子。
確か、同じクラスの女の子だ。
たまに思う。
女の子は可愛いのが得、なんて思う人が殆どだろう。
勿論この一般論が間違っているわけではないし、女の子が可愛いにこしたことはない。
だが、夷狄な輩に強引な誘いやナンパを受け、酷いときには強姦にことが発展するのは、被害者の容姿は少からず関係する。
その点だけ。
この世の中から芥な存在が居なくならない限り、可憐であることにマイナスが生まれてしまう。
現実逃避している場合でないことに気がついたのは、ナンパされている女の子が初めて大きな声で叫んだからだった。
「助けてっ!!」
かといって、くるみが今出ていってもデザートが増えるだけでなんの解決にもならないのが現実。
いっそのこととち狂ったかのように悲鳴をあげようか思考してはみたが、そんな勇敢な行動が取れるほど逞しくはない。
それに、払拭できない畏怖がある。
同じ目に遭うのは、やっぱり怖い。
「どうしよぉー…」なんて弱音を吐き捨て鼻を啜ったのも刹那。
女の子の悲鳴が上がる。
思い出した。
あの子の名前は「叶 栞」だ。
「嫌ぁっ!!触らないで!」
警察だ、なんて簡単な解決策を思いつき、肩に掛けたスクールバッグのチャックを開けて中からスマートフォンを取り出そうと、がさがさバッグを漁っているくるみの横を一人の男の子が通り過ぎた。
視線が男の子の背に向く。
身体を蝕んでいた狼狽が、消える。
くるみの手の動きが止まる。
もう、大丈夫だ。
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