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「几帳面」解説
まず、登場人物は「几帳面な母」と「痴呆症の祖父」と「俺」です。
徘徊癖のある祖父が、夜に徘徊しようとしたところ、誤って窓から転落して死亡した。
これが真相に思えます。
が、これは誤りです。
第一に、窓から祖父が転落したのであれば、「全ての窓は閉まっていた」という描写に対し矛盾が生じます。
窓から転落しつつ窓を閉めることは不可能だからです。
では、誰かが後から、祖父が転落した窓を閉めたということになります。
誰が閉めたのか?
それは「几帳面な母」に他なりません。
痴呆症が進行した祖父を邪魔に思った母が祖父が思い余って窓から突き落とした、という解釈ですが、母は几帳面ですから、「窓が後から閉まっていたら不自然だ」ということには思い至らず、つい窓を閉めてしまいました。
そこに「俺」が登場するわけですが、「俺」は「全ての訴え」すなわちこの真相に気付き、母をかばうため窓を開け離してしまいました。
これで母が祖父を突き落としたという真相に、誰も気付くことはありません。
この母子に未来はあるのでしょうか、それは、この事件の真相と同じく、誰も推し測ることは出来ないでしょう。
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