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「つまらないものですが」と言って町村母が出してきたのは、猫まんまとキムチ。
本当につまらないものだなと思いながらも、腹が減っていた俺は勢いよくたいらげた。
その後、何故かババ抜きが始まり、最終的に麻雀を始める俺たち。
「ロン!」
町村母は鬼のように麻雀が強かった。
「クソォ……これ以上負ける訳には……」
俺の点棒は既に風前の灯。リーチを張ることも出来ない。
「あっ、そろそろ時間です!」
玉袋が時計を指差すと既に1時半を廻ろうとしているところだった。負けたままで終わるのは悔しいが、本来の目的を実行しない訳にもいかない。
町村母をキッチンに残し、俺と玉袋、そして町村は二階の部屋に戻った。
部屋に入るなり電気を消し、ベッドに潜り込む町村。
「おい、そんな速攻眠れるもんなのか?」
俺が問いかけた時には既に小さく寝息が聞こえ、数分後には大きなイビキを繰り返していた。
俺はロープに霊力を込め、『先っちょだけ』を連呼する悪霊の登場に備える。
玉袋は麻雀で疲れたのか、半魚人のぬいぐるみを枕に涎を垂らして白目を剥いていた。
「おい、お札だけ出しとけ」
玉袋の頬をペチペチ叩くと、「うっせーな」と言いながらお札を出してきた。
やはり玉袋には、少し遅めの反抗期がやってきているようだ。
時計の音だけが部屋に響く。長針を見つめている間に、町村が言っていた深夜2時になった。
部屋を霊視しながら神経を集中させるが、悪霊の気配は感じない。
麻雀のメンツが欲しいが為に呼んだのだろうかと思う程に悪霊はやって来なかった。
何もないまま2時半を過ぎ、とうとう俺にも眠気が襲い掛かる。
明日、10時からシフト入ってるのにと思いながら意識を手放すと、いつのまにか朝を迎えていた。
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