龍神さまと過ごす日々

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後片付けが終わったあきらとくーちゃんは、寝間着から普段着に着替えました。それから一緒にお家のお庭に出てみると、燦々と照り輝く暑い太陽と、太陽の様に鮮やかな向日葵の花々が二人の事を出迎えてくれました。空を見上げると、雲一つない晴れ渡った青空が広がっていました。くーちゃんは自分よりも大きな向日葵をじっと見上げながら、目を瞬かせました。あきらがそんなくーちゃんを微笑ましく思いながら、如雨露に水をいれて水やりをしていました。向日葵畑の水やりをするのもあきらの日課の一つでした。向日葵の花がたくさん咲いていて、風にゆらゆらと揺られる姿は圧巻です。向日葵畑は小学生のあきらにとって、とても広く大きく感じて、水やりをするのも一苦労です。一つ、一つの向日葵の花に丁寧に、背伸びをしながら水やりをしました。あきらは一生懸命、汗水をかきながら如雨露に水を入れていると、突然、くーちゃんが服の裾をくいくいと引っ張りました。 「くーちゃん、どうしたの?」  あきらが首を傾げて聞いてみると、くーちゃんは自分の胸をとんとんと叩いて任せろと言わんばかりの表情で訴えかけました。あきらはくーちゃんの琥珀色の瞳を黒色の瞳で不思議そうに見つめると、くーちゃんは青空をじっと見上げました。そして、青空に向かいお辞儀をしました。すると、先ほどまで雲一つなく広がっていた青空が、灰色の分厚い雲で覆われてしまいました。灰色の空からは、ぽつり、ぽつりと雫が大地へと降り注いだのでした。
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