19人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
熱発者専用の静かな待合所
総合クリニックの喧騒が少しばかり遠く隔たれる。
頭の中で、同じメロディをリピートしつつ、幾つかのシーンを反芻する。
ひとつも後悔などしていない。
知らない熱と匂い
傷付かないでと、震えていた。
今年、最後にして最大の秘密に違いない。
「急に特別になっちゃったね」
なんて、笑った。
明日、夜はどうだろうか。
このまま結果が出てしまったら、また先延ばしになってしまうね。
やきもきする午後3時前
それとも、あなたは看病してくれる?
放っておいたら死んでしまうかも、なんて大袈裟。
あなたでも、君でも
どちらでもいいような気がしてしまうのは
熱に浮かされた頭のせいだ。
きっと
とか考えているうちに、診察に呼ばれて、その結果にほっとする。
やっぱり明日には、全てが決まる。
どうにでもなってしまえと思うような、そうでもないような。
喉から血の味がする。
もう、十分に傷付きすぎた。
ひたすら考えを巡らせる、待合所はやはり静かだ。
最初のコメントを投稿しよう!