活字の浸水~ナッツのラテを添えて~

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車酔いしたみたいに気持ち悪い。 静止したカフェの一角。 買い漁った3冊のうちの短編集を袋にしまい直す。 酸欠なのだろう。 苦しい欠伸が止まらない。 そろそろ帰ろうか。 自身で綴った画面上の文字達を見返して、センチメンタルに浸った。 少しずつ、少しずつ 苦く辛い出来事の爪痕を飲み下していく。 一方で、甘ったるいナッツ味のラテは飲みきることができなかった。 もういいかって、気になれたら楽だ。 もう随分とそれらしき地点に近付いたものだ。 どうも低気圧には弱い。 やはり車酔いしたみたいだ。 気持ち悪い。頭が痛い。 これから運転するというのに、笑えない。 きっと死んでしまったからだ。 それに向き合うとき、人は無条件に弱い。 ようで、強いのかもしれない。 閾値とはどこにあるのだろう。 無理矢理に当て嵌めるような、所謂「一般」だとか「普通」だとかいう物差しなんていらなくて。 止まない耳鳴りが、いつかの潮騒を連れてくる。 消えてしまえばいい。 ぜんぶ、 上書きしておくれ。 あの日没で。夜の闇で。その中で輝く電飾の海で。
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