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震える背中に、どうしたらいいか分からなくなって、自分を見失った。
手も繋げない。
抱き締めることもできない。
そんな関係で、私は彼をどうしたかったのだろう。
伸ばしかけた手は意味を持つことなく、戸惑っては力なく落ちた。
慰め合うやり取りなら、飽きるほど交わしたのに。
肝心な時には、この場に相応しく、期待されるような言葉ひとつ出てこなかった。
私に何が出来ただろう。
答えは簡単だ。
「何も出来ない」だ。
それが、彼と私のどうにも埋められない距離で。
現実、だった。
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