裂傷

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ナイフで裂かれた指から滴る血が 毒を孕んだ花びらに見えた それは 摘んでも摘んでも限りなくて 痛みが麻痺していくだけだ あなたを愛していました あなたと過ごす時間を愛していました 愛した分だけ憎しみが募って 今ではもう、自分でも訳が解らない 何度だって、いつになったって 忘れられずに繰り返す そんな軽いフレーズなんだね そんなに簡単に捨てられるんだね 便利な道具だったんだね 扱いやすかっただけなんだね どんなに後悔したってもう元には戻らない 「愛してる」 何度も聞いたその言葉は 飼い慣らすためのエサでした 信じていたものは、振り返ってみたら何も残りませんでした 「返して」と泣いて路頭に迷っても、何も答えない ただ、飽きた玩具のように捨てていくだけ そんなあなたにとっては痛くも痒くもない、遊びのようなものだったとしても 私は一生背負い続ける
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