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粉末のマッシュポテトと、缶詰めのチキンを胃に流し込む。
生命を健康的に維持していくだけの食事を採ることさえ困難だ。
脳裏を赤い風船が過る。
遥か上空に、飛んでいったそれは。
もっと、重しをつけておけばよかったのか。
あるいは結びつけておけばよかったのか。
「応答願います。どうぞ」
何も応えない。
ノイズ
からの、沈黙
「メーデー、メーデー」
墜落していく体を立て直せないまま、虚しく響く無線。
誰だよ、コードを切ったのは。
無線なのにさ。
応答は、ない。
真っ逆さま。
暗転。
器を流しに放り込み、適当に水に浸した。
眼鏡もコンタクトもしていないから、ちゃんと浸かっているか分からない。
確認する気力もなく、元の通り、毛布に体を滑り込ませた。
入居時に誤って買ってしまった丈の短いカーテンの裾から、眩しい朝日がこぼれる。
鬱陶しい。
電気は消したままだ。
早く、早く楽になりたい。
4粒の錠剤を押し込んで、ペットボトルのジャスミンティーを含んだ。
喉に引っ掛かって、上手く、飲み込めなかった。
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