〈三日前〉初恋と別れ

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ただ、広海が私の側にいてくれるのは、美桜の想いを知ってしまったからじゃないのかなって……そう感じる事はこの10年の間に何度もあった。 でも……どうしても確かめられなかった。 ーーあの時、 二人きりの病室の中で、いろんなものを失った悲しみと、後悔に泣きじゃくる私を抱き締めながら、広海は私に言い聞かせるように何度も同じ話を繰り返した。 『もう失ったものは取り戻さなくていい』 『これから誰が居なくなっても、裏切っても、俺だけは絶対に樹里から離れない。裏切らない』 『全部リセットして最初からやり直そう。俺達は二人だけの幼なじみだったんだ。それでいいよな?』 ……いい訳が無かったのに。 私は、知ってたんだ。広海はいい加減で、適当で、遊んでるヤツかもしれない。 ……だけど、本当は友達思いで優しくて、いいヤツだって。 私達三人が出会ったのは、4歳の時。 リセットして、二人だけの幼なじみになろう、幼なじみをやり直そうと約束した日は、私の14歳の誕生日だった。 ーー あれから、10年。 ずるい私は、広海の優しさを10年も利用した。 広海まで私の側から離れてしまったら、きっと私は壊れてしまう。 ……ただ、それだけが怖かった。
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