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広海にも同じように想いを返したい。返したいのに、想いが溢れ過ぎて胸につかえて、うまく声が出てこない。
「『好き』……じゃ、なくて……『愛してる』なんだね」
やっとの思いでポツリと呟くと、
「当たり前だろ。『好き』なんて、とっくの昔に越えてんだよ」
なんて返されて、艶やかな唇の端がまたキュッと上がった。
だから、その甘い微笑みは反則だ。
心臓が痛いくらいにギュッと縮んで、身体中の温度が上がっていく。
「……私の事『女として見れない』って言ってたくせに」
「見れねぇよ。当たり前だろ。ずっと側にいないといけないのに女として見たら、もう幼馴染みだって思えなくなるだろ。お前の事、離したくなくなるだろ」
「……なっ」
「それくらい分かれよ、バカが」
恋人になると、聞きなれた『バカ』の言葉も、途端に甘くなるみたい。
照れ隠しで言った言葉だって、まともに返されて。だけど、広海の頬もだんだんと赤くなっていく。
たぶん、広海も、私と同じくらいに恥ずかしいんだ。
見つめ合って、気持ちをさらけ出して、心は温かくなって。
もっと近づきたくなるけど……今はまだ、ちょっとだけお互いに恥ずかしい。
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