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「広海……ちょっと待っ……」
「あっ……んっ」
私の頬に添えられていた広海の長い指先が、するりと滑って首筋を辿る。
普段生活をしていて自ら首筋を触る事なんてそうそう無いから、自分がこんな風に首筋を撫でられただけで痺れるくらいの震えが全身に走る体質だなんて知らなかった。
待って、待って……とうわ言のように繰り返しながら、頭の中では『……何で、何で、どうしてこうなったのー!?』と必死に自問自答している。
……だって、さっきまでは本当に普通に過ごしてたんだ。
幼馴染みの沖田 広海が、私渡瀬 樹里の恋人となってほぼ一ヶ月。
二人が休みの週末にはいつもデートをして、甘~い甘~い時間を過ごしてまーす……なんて事は全く無くて、超インドアの広海と、超超インドアの私はどこにも出掛けずに、いつも広海の部屋で各々勝手に過ごしている。
今日だって、広海はスマホのゲームに夢中になっていて、私は広海が使ってない携帯のゲームで動画を見ていたんだ。
……つい、さっきまでは。
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