《 番外編 》 初めての……

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だから、昔みたいに私の部屋に泊まったとして、『おやすみなさい』からの時間が二人でただ眠るだけで済む訳もない……って事くらいは、24歳モチャモチャ未経験の私でも分かる。 白状すると……何度か広海の部屋でそういう雰囲気になったりはしたんだ。 広海は普段あんまり感情を面に出さない人だけど、そういうギュッとしてくれたり、キスをしたりしている時は何て言うか……いつも透き通るような薄茶色の瞳がちょっとだけ熱っぽくなると言うか、熱を帯びると言うか、触れている所だけじゃなくてその視線からも熱を感じて、心も身体もあっという間に蕩けてトロンってなってしまう。 ……で、頭が真っ白になっていつも気がついたら「待って待って」ってうわ言みたいに呟いてしまっている。 いつも広海は、そんな私に"しょうがないな"って感じで優しく微笑みながら頭を撫でてくれるけど、そのうち今朝の夢みたいに『……だから、どんだけ待てばいいんだよ』って不機嫌になったり、呆れられてしまいそうで。そうなったらどうしようって思えば思うほど、余計に身体が固まってしまうんだ。 そんな事をごちゃごちゃ考えてしまう前に、素直に広海を受け入れられたらいいのにって思う。 だけど……普通の恋愛ってこんな感じなの?付き合うって、こんなに展開が早いの?広海(幼馴染み)が恋人に変わったのはつい最近の事なのに。 私は、正直……このスピードについて行けないんだ。
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