《 番外編 》 初めての……

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うっ……わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 心の中だけで絶叫しているうちに、条件反射のように全身の毛穴が開いて汗が吹き出してくる。 カアッと頬に向かって熱が集まり始める。たぶん今、私の顔は酔っているのとは全く違う理由で真っ赤になっているはずだ。 寝ぼけた視界にいきなりどアップで広海の顔面が飛び込んで来るのは、心臓に悪い。悪すぎる。 出会ってから記憶に無い部分まで含めると24年。……なのに、心の準備が出来てないうちにいきなり広海の顔を見ると、未だに心臓が騒がしくなってしまう。 いや……むしろ、最近の方がドキドキは増しているかもしれない。 広海の異動願いが受理されて、この春から正式に居宅介護支援へと異動する事が決まったと同時に、広海は肩に付くくらいまでの長さまで伸ばしていた髪をバッサリと切った。 色々な人のお宅を訪問する仕事だし、利用者さんだけじゃなくてご家族の方にも関わる仕事だから、万が一にも失礼がないように……なんて広海は言ってたけど、私にとってはそんな理由なんて知ったこっちゃない。 広海は綺麗だ。そして、美人だ。 何年経っても広海の美しさは変わらなくて、今までの広海に対するときめきは、同性の綺麗な人達を見た時にドキドキするような、憧れの気持ちに近いようなものだった。
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