《 番外編 》 初めての……

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だけど、このときめきは明らかに今までのものとは違う。 髪を切って、前よりもずっと男らしくて、格好良く見えるようになったっていうのもあるんだろうけど…… 単純にドキドキするだけじゃない。広海を見て、話して、触れたり、触れられたりする度に心臓が掴まれたみたいにギュって軋んで、息苦しくなって、なんだか泣きたくなるほど切ない気持ちになってしまう。 ただ綺麗だったり、美しいものを見ただけじゃありえないこの気持ち。心に痛みを伴うほどのこのときめきは、たぶん恋をしているからだ。 今までも、ずっと私は広海の事が好きだった。だからずっと勘違いをしていたのかもしれない。 私は、恋人になって初めてちゃんと広海の事を異性として意識するようになって…… 今、ようやく広海に恋心を抱くようになったのだと思う。 *** 「樹里。おい、本当に大丈夫か?」 熱くなった頬に広海の手が触れる。ペタペタと確かめるように触れられて、恥ずかしさにますます頬に熱がこもる。
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