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確かに才加に相談はしたけど、それは広海が心配していたような方向の話ではなくて、私にとってはモチャモチャな関係に進む以前の問題だ。
恋愛初心者の戸惑いと言うか……。幼馴染みじゃなくて、恋人になった広海にどう向き合ったらいいのか分からなくなってしまっている。そんな幼稚で恥ずかしい話を、才加は真剣に聞いてくれた。
それに、とりとめのない話の中に隠れていた私の不安や戸惑いもちゃんと見つけてくれて、『広海に全部受け止めてもらいなさい』って言ってくれた。
この戸惑いや悩みは、私じゃなくて、広海に伝える事なんだよって教えてくれて、広海なら大丈夫だよって言ってくれた。
大和くんには、私の説明が下手すぎて間違った伝わりかたをしてしまったみたいだけど……まぁ、これは盗み聞きをしていた方が悪いと思うので、後でそれ相応の罰を考えて……才加に実行してもらう事にしよう。
才加に叱られてしょぼくれた大型犬のように項垂れる大和くんを脳内で想像したら、少しだけ気が晴れた。
「違うからね!私、大和くんにも才加にだって、そのっ……あのっ……そういう話は相談してないからね!!……って、痛ぁっ……」
そして、広海の誤解を解こうと慌てて起き上がったら、少しだけ鈍くなってきていた頭の痛みがまたぶり返してしまった。
こめかみにズキンと鋭い痛みが走って、苦痛に顔が歪む。
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