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第1章 色の無い世界で
『信じて…私じゃないの、お願いだから信じて』花奏
『もうあんたなんか友達じゃないからーー』菜々
必死で涙を流しながらそう懇願する花奏に親友だった菜々は酷く冷たい目をしながら彼女を見つめてそう言い放った。
そして花奏はそこで目を覚まして悪夢のようなその夢から解放された。
「また…あの時の夢」花奏
花奏はゆっくりとそうつぶやくと、ふと部屋の時計を見た。
見ると時間はまだ朝の5時30分だった。
時間を確認すると、花奏はそのままベットから起き上がり布団から出ると何気なく写真立てを手に持った。
それは中学の頃に花奏と当時まだ親友だった菜々と2人で撮った思い出の写真だった。
「菜々…」花奏
花奏は写真を見つめながら涙を浮べて静かにそう言った…
そしてそれからしばらくして制服に着替えた花奏は朝食をすませると家を出て高校へと向かった。
まだ秋の風が吹く10月の平日のとある朝ーー
学校に向かって歩いていると1人後ろから声をかけてきた。
「おはよう花奏」美和
そう言われて後ろを振り向くと、そこには綺麗に切りそろえられた長い黒髪が似合う花奏の同級生の栗原美和が微笑みながら立っていた。
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