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「もちろんそんなことしてないよ、私は他に好きな人いたし」花奏
「じゃあ…」美和
「だけどある日、誰かがその子にそう言ったみたいなの…そしてその子はそれを本当に信じてしまった」花奏
花奏は苦笑いしながらも暗い表情でそう言い終えると美和は立ち止まって花奏に向き合って言った。
「私は信じないから」美和
「えっ…?」花奏
花奏は不意に聞こえてきた美和の言葉に驚きながら立ち止まってぱっと俯かせていた顔を上げて美和を見ると美和はそれから言葉を続けた。
「どうしてその子がその時花奏のことを信じなかったのかはわからないけど、でも少なくとも私は花奏の言葉以外信じないから」美和
「美和…」花奏
「だから、大丈夫だよ…もうそんなこと起きないから」美和
美和はまるで今でも不安に思っている怯えるような花奏の心を見抜くかのように優しくそう言った。
花奏はそんな目の前の優しく微笑む美和の言葉に本当に救われていた。
そして花奏は笑顔でそんな美和に言った。
「ありがとうーー」花奏
美和はその一言を聞くと、ふっと静かに笑って2人はまた前を歩き出した。
そしてそれから学校に着いてからしばらくした後の休み時間に花奏は1人で廊下を歩いていると前から同じクラスの夏川 麻友が歩いて来た。
麻友は花奏にぶつかりそうになるのを分かっていながらあえて避けようとはしなかった。
「あ…」花奏
花奏は危ないと思ってぎりぎりのところで軽くふと避けた。
すると麻友はゆっくりと立ち止まって花奏の方を向いて言った。
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