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「どういうこと?」陸斗
「悲劇で終わってしまった恋だけど、大切な人を求めて愛したり、悲しみにくれたりそういう許される許されないの前に誰かを愛しく思って恋に落ちることってそういう感情ってなんだか人間らしいと思うんだよね」花奏
花奏はそう言い終えると陸斗の方を向いた。
すると陸斗はふと微笑んで言った。
「花奏はすごいな…俺には分からないよ」陸斗
「山崎くん…」花奏
陸斗の言った言葉にどこか花奏は寂しさを感じていた。
それでも花奏は図書室で陸斗と過ごすこの時間が好きだった。
陸斗はいつも花奏が話す本の話を聞いていた。
何か意見を言うわけでもなく、ただ静かに黙って微笑みながら聞いていた。
そんな心地よい春のそよ風のような時間は花奏にとって何よりも宝物のような大事な時間だった。
そしてそんな大切に思う人だからこそ、花奏は麻友とのことを言えずにいた。
すると陸斗はふと思い出したかのように突然花奏に話し出した。
「そういえば、夏川となんかあった?」陸斗
「えっ…?」花奏
不意に言われたその言葉にどう返せばいいのか分からなくなった花奏はそのまま押し黙ると陸斗は気にせずそのまま話を続けた。
「あ、いやさっきここ来る前に隣のクラスのやつが廊下で二人が話してるの見かけたって言ってたから」陸斗
「なんかあった?」陸斗
そう言って陸斗は花奏の顔を見ると、そっと本を持っていた花奏の手を握った。
そして驚いている花奏に陸斗は言った。
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