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花奏は打ち合わせをしながらも伊月のことが頭から離れずにいてどこかうわの空だった。
『僕が君を見つけた…』伊月
花奏はさっき伊月が言っていたその言葉が忘れられないまま心臓の鼓動がずっと高鳴ってるのを感じていた。
そして不意に繋いだ手を花奏はふとほぼ無意識のうちに見つめていた。
「先生…先生、どうかしましたか?」京子
花奏の担当を任された出版社の町田京子はさっきからずっとうわの空で不自然な花奏の様子を心配そうに見つめながらそう声をかけた。
するとそれで我に返って現実に戻った花奏は途端に恥ずかしくなって目の前の京子に軽く頭を下げて言った。
「あ、すみません町田さん…大事な打ち合わせなのに…」花奏
申し訳なさそうにそう言うと、京子は優しく笑って花奏に言った。
「いえいえ大丈夫ですよ…もしかして、風間先生のことですか?」京子
「えっ…そ、それは」花奏
花奏はいきなり核心を突かれて少し動揺してしまうと京子は更に言葉を続けた。
「うふふ、やっぱり…大丈夫ですよ、女同士ですし編集長にも誰にも言いませんから」京子
「それにしてもやっぱり風間先生は人気ですよね、あのルックスですし何より超有名脚本家であるわけですから」京子
京子は1人で納得しながらそう言うと花奏は少し疑問に思いながら京子に聞き返した。
「あの…京子さん、風間先生が有名脚本家って今言ってましたけど…」花奏
「ああ、はいそうですよ…彼は風間伊月と言ってドラマや映画の脚本を多数手がけている業界では有名な方なんですよ」京子
花奏は京子の話に思わず耳を疑ったーー
さっきまで一緒にいて花奏を助けたのが、あの花奏が尊敬し大ファンの風間伊月だったという事実に花奏は衝撃を受けた。
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