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本当はどこにも行かずに、ずっとそばにいてほしい…隼人はそんな願いにも似た想いをずっと胸に秘めていたーー。
だけど、そんなことを花奏は待ったく想ってもいないのだと、隼人は花奏のいない部屋で1人そう悟った。
『本当は好きで好きで、たまらないのに…花奏、お前は俺を見ていないんだな……』隼人
隼人は心の中で静かにそう言った。
そして、キッチンに戻った花奏は1人さっきのことを思い出していた。
『もう少しだけ、あと少しでいい、ここに、俺のそばにいてくれないかーー』隼人
花奏は隼人の言ったことを思い出すと少し俯きながら呟くように言った。
「さっき…いつもの隼人じゃなかった…なんだか知らない男の人みたいに見えた…」花奏
花奏はそう言ってから一瞬だけ頭を横にぶんぶんと振っていったん頭を冷やした。
「なに考えてるんだろう私ったら、隼人は私のせいで熱を出して苦しんでるんだから…きっと熱で弱気になっただけよ」花奏
花奏は1人静かにそう言うとすぐに気持ちを切り替えてさっき作ったおじやを少し温め直した。
それから少しすると花奏はキッチンから一人分の小さな土鍋に作ったおじやとキッチンにあったれんげとお茶碗を盆にのせて隼人のいる部屋に持ってきた。
隼人は扉が開いた音に気づいてつぶっていた目を開けて扉の方に視線を向けると隼人は驚いて思わず起き上がった。
「えっ!」隼人
「これなら食べられるかと思って、作ったから食べて」花奏
花奏はそう言ってテーブルの上に持ってきたのを置くと空になったお盆を自分の座っているところの脇に置いた。
隼人は思いもしなかったことに驚きを隠せないままとりあえずベッドから降りてテーブルの前に座ると隣に座っていた花奏に戸惑いながら聞いた。
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