132人が本棚に入れています
本棚に追加
それから花奏はパソコンを開いて新作の準備をしていた。
「うーん、次回作のテーマどうしようかな…」花奏
花奏はため息とともにそう呟くとアイスティーに手を伸ばして口をつけた。
するとふと花奏の脳裏に今日の伊月とのあの出来事が不意に浮かんだ。
そしてその瞬間、花奏の心がほんの一瞬ドキッとしたことに花奏は気づいて驚きを隠せなかった。
「なにいまの…なんで私、こんなことになるの…」花奏
花奏はひとりでそう呟いた。
するとふとあることを思いついた。
「恋…どこまでも純粋で真っ直ぐな切ない純愛……」花奏
花奏はそう呟くとさっそくそれをパソコンに候補として書いた。
「ラブストーリーか」花奏
花奏はこれまで数作書いてきた中で完全な甘いラブストーリーはまだ書いたことがなかった。
これまで書いてきたものはほとんど、嫉妬や欲にまみれた復讐劇やドロドロのヒューマンストーリーを書いていた。
一度はチャレンジしてみたいと思っていた花奏だったが高校生のときに恋に、恋愛に絶望した経験がある花奏にとって甘い展開の多いラブストーリーはどうしても書く手が進まなかった…。
そしてその日の夜遅く、伊月のスマホに京子から電話がかかってきた。
「もしもし、伊月くん…」京子
「どうした? こんな遅くに」伊月
執筆中の手を止めて電話に出た伊月は慣れ親しんだような声色をしてそう言った。
その声を電話越しに聴いた京子は少し俯いて頬をピンク色に染めて微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!