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それは、まだ2人が出会って間もない頃、大学のキャンパスでのことだったーー。
「ん…一条さん?」伊月
キャンパスをひとりでいた伊月は木陰で同じくひとりでいる花を見つけた。
そっと近づいて花に声をかけた。
「こんなところで何を…」伊月
「きゃっ!」花
「うわっ…!」伊月
伊月が後ろから声をかけて花の肩を掴むと、花は驚いて声をあげると伊月もそれに驚いた。
振り返った花はどこか怒っているような表情で伊月を見た。
「もう、どうして大事なときに脅かすんですか?」花
「ごめん、そんなつもりはなかったんだ」伊月
「せっかく集中して読んでたのにどうしてくれるんですか!」花
花は怒ってそう伊月に言うと、伊月は花の手元を見て言った。
「あの、何を読んでたの?」伊月
「えっ?」花
花は怒っていた表情を変えて一瞬きょとんとすると、花は持っていた本を伊月に見せた。
「これ知ってますか?」花
「これは?」伊月
「月光の花嫁っていうファンタジーロマンス小説です」花
花は伊月にそう言うと、今度は楽しそうにその小説のことを伊月に語り出した。
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