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「この小説は平凡なひとりの人間の主人公遥輝がある日美しい月明かりに照らされたひとりの女神と出会って恋に落ちる話なんです」花
「人間の遥輝はその女神に切ない恋心を抱くんだけど、女神には決められた相手がいたの、そして女神にはもうひとつ、決して破ることの許されない掟があったの…それは、絶対に人間と恋をしてはいけないーー」花
「もし掟を破ればその女神は満月の夜、月明かりに照らされてその世界から存在そのものが消えてしまい、相手の人間の記憶からも消されてしまうの」花
一生懸命にその小説のあらすじや面白い見どころなどを語る花の隣にいつの間にか腰を下ろしていた伊月は気づくと熱心に花の話を聞いていた。
あまり小説には興味がなかった伊月にとって花は自分の知らない世界を教えてくれる、ある意味特別な存在だった。
それからどれくらい経ったのかは分からなかった。
ただ気づいたときには伊月はもうその小説のファンになっていた。
「すごいなその展開、一条さんに話を聞いてからすっごくその小説が読みたくなった!」伊月
伊月は目を輝かせながら花を見て言った。
花はそんな伊月の様子を見てつい嬉しくなって伊月にその小説を差し出した。
「はい、これ貸してあげる」花
「えっ…だけど」伊月
伊月は突然の申し出に少し戸惑っていると花は少し笑って言った。
「だって風間くん、私の話を聞いてこれが読みたくなったんでしょ? そんなこと言われたら貸さないわけにはいかないでしょ!」花
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