第5章 導かれるもう一つの運命の出会い

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そしてしばらく電車に揺られてから降りた最寄り駅から少し歩くと、絵画展が行われている会場に着いた。 花奏は緊張もそこそこに会場の扉を押して開けて入るとすぐ向こうに受付が見えた。 「あの、すみません当日券を予約したんですけど」花奏 花奏は当日券と交換出来る予約受付番号を受付の人に見せるとパソコンの画面を見てとても気まずそうにしながら受付の人が言った。 「大変申し訳ありません…当日券は先ほどで完売になりました」受付人 「そんな…」花奏 花奏はまさかの事態に思わず言葉を失っていると後ろから突然意外な人に声をかけられた。 「一条さん?」伊月 「えっ?」花奏 花奏が驚いて振り向くとそこには出入り口のさっきの扉の方からこちらに真っ直ぐ向かってくる伊月の姿があった。 伊月もまさかの出会いに驚きを隠せないまま花奏の目の前まで来て立ち止まると受付の人と花奏を交互に見てから言った。 「あの、ところでなぜ一条さんがここに?」伊月 伊月は不思議そうに言うと、花奏が少し気まずそうな様子で話した。 「あの…それが、実は当日券を予約してたんですけど、先に売り切れてしまって…」花奏 花奏が俯きながら最後にそう言った。 伊月は事情が分かると、花奏に何も言わずにそのまま受付の人を見て言った。 「すみません、大人2枚お願いします」伊月 伊月はそう言って事前に買っていた前売りチケットを2枚受付の人に渡した。 「えっ?」花奏 花奏は伊月の行動に思わずまた驚いていると伊月が不意に花奏の方を向いて目を合わせて言った。 「これも何かの縁だ、良かったら一緒に見ませんか?」伊月 伊月ははにかんで花奏にそう言った。 「えっ…あ、はい」花奏 花奏は状況に頭がついて行かず動揺しながら頷いてそう答えた。 それから受付を済ませた2人は展示フロアへ一緒に向かっていた。 「ありがとうございます…なんだかすみません休日なのに」花奏 少し俯きながらそう言うと、伊月は横目で一瞬その様子を見てから呆れながらもどこか楽しそうな様子で言った。 「まったくもう気にしないで、あのまま君を帰したらとてもじゃないけど僕が絵画展を楽しめる自信がなかったんだ」伊月
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