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「えっ…本名?」伊月
「はい…一条花は私のペンネームなんです」花奏
花奏は静かにそう言うと、伊月は驚きのあまりに声が出なかった。
そして花奏は伊月の様子を目の前にして、少しだけなんだか申し訳ない気持ちになった。
そんな気持ちを抱えながら花奏は、意を決して伊月に本名を名乗った。
「私の本当の名前は…新条花奏と言いますーー」花奏
「では、本当に君は…一条花は作家としての名前なのか?」伊月
伊月は確かめるように真っ直ぐと花奏を見つめてそう聞いた。
すると花奏は少し俯きながら答えた。
「はい、そうです…なんだかすみません、先生に誤解させてしまったみたいで…私はもともとネットの小説投稿サイトで活動していたのでペンネームを使っていたんです」花奏
「そうか…そうだったか」伊月
伊月は全てを知ると、その途端に花奏に対して申し訳ない気持ちが膨らんでいった。
そして落ち込む花奏に伊月は優しく声をかけた。
「顔を上げて、君は悪くない…悪いのは僕だ」伊月
「えっ…?」花奏
花奏は伊月の言葉に反応してそっと顔を上げると花奏を見つめる伊月と目が合った。
そして伊月は花奏と目が合ったまま言葉を続けた。
「僕が勝手に誤解して思い込んでしまった…そのせいで君を困らせてしまったんだ…本当に申し訳ない」伊月
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