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『似合いそうだな…』伊月
伊月はそっと心の中でそう呟いた。
しばらく迷ってから伊月は、販売のスタッフに声をかけた。
「すみません」伊月
「はい」販売スタッフ
笑顔でそのスタッフが返事をすると、伊月は結局そのブローチを買った。
少し離れてもといた場所に戻って花奏を待っていると、それから数分してから花奏が戻ってきた。
「すみません、お待たせしました…!」花奏
「あ、いや全然…そうだせっかくだしこれからどこか行かないか?」伊月
伊月はさっき買ったブローチが入った箱を手で後ろに隠し持ちながら、花奏にそう言うと、花奏は一瞬嬉しそうな顔をしてからどこか気を使うようによそよそしい態度で言った。
「でも、ご迷惑じゃないですか? 先生普段はお忙しそうだし…」花奏
「別に平気だから、そんなに気を使わなくてもいい」伊月
「だけど…」花奏
花奏はそれでも不安げな様子でいると、伊月がふと優しく笑って、突然花奏の手首を掴んでそのまま歩きだした。
あまりにも急で驚いた花奏は手を引っ張られながら、少し先を歩いている伊月に後ろから言った。
「えっ…あの先生?」花奏
若干動揺しながらそう言うと、伊月は歩きながら後ろを歩く花奏に答えた。
「大丈夫、いいから行こう」伊月
伊月の言葉にどこか安心すると、花奏はどこか嬉しそうに一瞬俯いてから笑った。
「はい」花奏
その返事を聞いた伊月は更に気を良くして、そのまま2人はエントランスを出て会場を後にした。
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