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それから伊月と花奏が向かったのは、近くにある少しレトロな雰囲気のおしゃれな喫茶店だった。
2人はお店の扉を開けて中に入ると、奥の4人がけのゆったりとしたソファー席に向かい合わせで座った。
伊月がメニューを取って開くと、それを花奏の方に向けてテーブルの上に置いて見せた。
「さあ、どうぞ」伊月
「ありがとうございます…だけど、先生は選ばないんですか?」花奏
置いたメニューを見ない伊月を不審に思った花奏はそれとなく聞いてみると得意げな表情をして伊月がそれに答えた。
「僕はいいよ、いつもほとんど同じようなのしか選ばないから」伊月
「えっ、そうなんですか?」花奏
花奏は驚いてそう言うと、伊月が少し笑って言った。
「ここら辺は昔からよく来てるから知ってる店も多いんだ」伊月
「そうだったんですか」花奏
花奏がそう言って相づちを打っていると間にお店の人がお水を持ってメニューを取りに来た。
「ご注文はいかがなさいますか?」店員のお姉さん
「それじゃあ私は、レモンティーのアイスで」花奏
花奏が見ていたメニューから顔を上げて店員のお姉さんにそう言って目線を投げると、その店員は軽く頷いて返事をした。
それを見ていた伊月がすかさず自分の分を注文した。
「僕はミントティー」伊月
「はい、少々お待ちください」店員のお姉さん
そう言って軽い一礼をするとその店員はすぐにその場を後にした。
また二人きりになると、伊月が自然と話し出した。
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