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いきなり喋ることになると、どう喋ればいいかよくわこらないな。
結構長くなってしまうかもしれないけれど、頑張って聞いてくれると嬉しい。
僕は昔から一人でどこかを探検することが好きだった。
山や森を歩いていると、誰が作ったのかはわからないけれど、道が続いていることはよくあったし、そういう道は僕の想像力を掻き立て、興奮させた。
その道のことを獣道ということを知ったころ、中学生頃になるかな、僕は自然を散策することはなくなっていた。
行動範囲は自然と学校や街に広がっていき、自然とは離れて行った。
僕はそのことを特に寂しいとは思わなかった。何故なら慣れ親しんだ風景よりは光や音で満ち溢れた都会の方が若い僕には刺激が強かったからだ。
周りの学生や大人を見ても自分が正しいという結果をより強く理論付けて行っただけだった。
それらの人達の中には森の鳴き声や鳥の話を聞こうという人なんていなかったんだ。
しかし、僕の年齢が三十代に乗り上げてから転機が訪れた。
転勤が命じられて、地方の分社に努めることになり、当面の住居を探して親戚を回っていると、ちょうど誰も借り手が見つかっていない一軒家が出てきたのだ。
一人暮らしである自分には二階建てであることは大きすぎて合わないかと考えたけれど、知り合いであるが故の破格の値段を鑑みると、その家に住むことが一番であるという結論に至った。
これで僕の物語の序章は終わり。これから起こる事柄が僕の人生に大きな意味を持っていることは間違いありません。
僕は彼らに出会うために生まれてきたのかもしれないと思わせるほどの出会いです。
僕は、約二十数年ぶりに、自然と出会うことになる。そこで僕が見て、関わった不思議な人や物たちのことがあなたに伝わればいいと、僕は心から思っているよ。
僕は深々と頭を下げた。物語が始まる。
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