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第2章 ・・・事故物件
カウンター越しに向かい合って座る、さっき部屋を案内してくれたおにいさんは、
真琴の質問を黙って聞きながら頷きを繰り返した。
「はい、もちろんご説明します。
さきほど・・私が気になることはないかとお聞きしたのはこのことなんです」
「なんだぁ、だったら言ってくれればよかったのに・・」
「はあ、申し訳ありません・・ただ、今はわかっていてこういう物件を
借りられる方もいらっしゃるので・・家賃の安さのほうを選んだというか・・」
そのもごもごとしたおにいさんの口調を聞いて、真琴は勢いよく切り込んだ。
「やっぱり、あれ、ですか?」
「はい」
おにいさんと真琴だけで解りあってる感がなんだかしゃくに思えて、
私は割って入るようにして声をあげた。
「あれって、なんですか?私に解るように説明してくださいよ、借りるの私なんだから」
「あ、これは失礼しました」
と頭を下げるおにいさんと一緒になって真琴もちょんと頭を下げた。
「いわゆる・・事故物件です」
「事故物件?」
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