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そう叫びながら、霞は一番弱そうな胡蝶を目掛けて飛びかかってきた。
しかし、その攻撃をそのまま受けるような男たちではなく、翡翠と夕凪が、それぞれ風と火を起こして霞を閉じ込めたため、霞は動けなくなってしまった。
「くっそーーーーー!!!こんなことになるなんて!!してやられたぜ!!」
あっさりと捕まってしまった霞は、他の看守によって再びしっかりとホールドされた。
「こいつ馬鹿?もう脱獄何度目だ?」
ちなみに紹介が遅れてしまったが、霞は茶色の髪をしている、特にこれといった特徴のない男だ。
「馬鹿じゃねえよ!!勢いで逃げ出せば逃げ切れると思ってたんだよ!」
「勢いで逃げ切れるほど甘くないよ」
「くちっ。俺戻るね。後よろしく」
「だってよ!!1対3っておかしくね!?お前等それでも男か!?男ならサシで勝負しろよ!!!てか普通に人間にそんな変な力使うか!?」
「おかしくねぇから。お前囚人俺達看守。なんで平等に勝負する必要があるんだよ。お前脳味噌洗浄してやろうか」
「マジ?そしたら今よりマシになると思うか?実はお前等良い奴?」
「やべ。夕凪、こいつ馬鹿だ」
「連れて行け」
夕凪に指示されると、他の看守によって霞は別の檻へと連れて行かれてしまった。
「よし。一件落着だな。俺は団子食いに行くからな」
「勝手に行け。いてて・・・またほっぺが擦れちまった」
翡翠はポケットから絆創膏を取り出すと、すぐに頬のそこに貼りつける。
翡翠は身体を風の如く扱う事が出来、夕凪は身体を火の如く扱うことが出来る。
胡蝶は身体を林の如く扱い、もう一人は後で紹介することにするが、とにかく、彼らはこうした不思議な力を持つがため、看守として雇われている。
一方、見事に脱獄に失敗した霞は、これまでいた檻とは違う、以前よりも暗い場所へと入れられてしまった。
「くそっ。もうちょっとだったのに」
全く以てもうちょっとではなかったが、霞は紙一重だったとでも言いたそうに悔しそうにしていた。
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