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私の世界
「たっくん、たっくん」
ゆっくりと目を開ける。視界には眩しい朝陽に照らされた天井。そして、見慣れた幼なじみの顔があった。
「たっくん、おはよう」
「えりか」
朝陽に照らされて真っ黒な髪と大きな瞳が輝く。可愛い、寝起きの頭で最初に浮かんだのは賞賛の言葉だった。そしてじりじりと邪な感情が生まれる。
「どけ」
「何よ、せっかく起こしに来たのに」
「あのさ、女が男の寝てるところに勝手に入るなって言ってんの」
「何で」
「何でって」
答えようとするが、佐倉えりかの澄んだ目を見ると言葉が出なかった。これは本気で知らない目だ。そうしている間にも生まれた感情は大きくなってくる。
「とにかく出てけ!」
えりかを押し出し、部屋のドアを閉める。そしてドアにもたれかかった。
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