あの世行きの列車

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あの世行きの列車

 先日、中学時代の友人と久しぶりに再会する機会があった。  友人は今、東京の大学に通っているらしく、バイトやサークル活動、中学時代の思い出話など色々な話をしてくれた。だが、お酒が程よく回ってきた頃、ちょっとおかしな話を始めた。 「おい。聞いて。俺見ちゃったんだよねぇ。あの世行きの電車」  最初は一体何を言っているんだと思った。  彼曰く、去年の夏に男女四人グループで千葉県の心霊スポットまで車を走らせたそうだ。かなり田舎の方だったらしく、夜になると辺りは殆ど真っ暗で、人の気配などまるでなかったそうだ。四人はカーナビだけを頼りに、田んぼばかりが広がる不気味な夜道を走っていた。  しかし、行けども行けども目的地の心霊スポットには辿り着かない。それどころか、同じ道を何度も何度もループしている。真っ暗な中ループしていることに気がつけたのは、その道の途中に古びた踏切があったからだ。車内は軽いパニック状態になりつつあった。  だがその時、何度も通過している踏切が突然けたたましく鳴り出し、当たり前のようにバーが降りてきたのだそうだ。時刻は夜中の2時を過ぎていた。その田舎の終電は23時45分。こんな時間に電車は走らない。友人は、おかしいとは思ったらしいが、工事用の車両か、貨物列車か何かだろうと思ったそうだ。
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