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もうわけわかんない。なんで異世界で天の声にそんなおせっかいを言われなきゃいけないんだか。
「覚えているかね。母親に捨てられたラノベたちを!」
「!!」
僕は脳天に大斧を叩きつけられたような衝撃を受けた。僕はラノベが大好きで貪るように読んだ、読みまくった。しかし、母さんは、
「勉強をしないから」
と、僕に黙ってラノベの9割を捨ててしまった! ってゆーかなんでそんな事を知っているんだ!
「……あッ!」
気付く。まさかと思うが。
「お前のだらしなさのために、たくさんの仲間が葬られてしまった! その無念、お前にはわかるまい!」
剣を掲げた格好のまま、エレヌーオは涙を流した。僕は上を向きながら呆気にとられるしかなかったが。不意に力が抜け視線が下がり、エレヌーオのおへそが視界に入った。
がさ。
不意に音がする。
なんと、逃げたと思った豚鼻のゴブリンがこっそりと近寄って、エレヌーオに飛びかかろうとしていた。
危ない!
と思ったけど。
エレヌーオもさるもの。咄嗟に気付いて、素早く反転して、剣をゴブリンに叩きつけて仕留めた。
「うぎゃああああああ!」
ゴブリンは断末魔の悲鳴を上げて、倒れた。
この子はマジで強い。
僕は恐怖を感じてやまず。
「は、はい、まじめに勉強して大学に合格します!」
と口走ってしまった。
ラノベを捨てられた理由は、ラノベばっかり読んで勉強を全然しなかったからだ。最初はショックだったけど、ほとぼりが冷めたら、まあしゃーないと開き直ってぃた。
「君の母さんは、合格したら捨てたラノベを買い戻してあげるとは言ったな」
と天の声は言う。その通りだけど、よく知っているなあ……。
どうも、僕は僕の持っているラノベ(おそらく未読の積読の作品だろう)の世界に召喚されたのだ。かろうじて残ったラノベのキャラのエレヌーオは仲間のラノベが捨てられたことから、僕を仇と思うようになったのか?
で、天の声は、僕にチャンスをくれた。
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