白い部屋

9/9
前へ
/9ページ
次へ
 遥か遠く、何万光年離れたところで、この様子をモニタリングしている者がいた。  そして、この星の生命体の知的レベルは、この程度のものか、と嘆いた。  彼は、生命体の存在が確認できた星に、遠隔操作が可能な実験室を送り込んだのだ。そしてその星で一番知的レベルが高いと考えられる生命体を捕獲し、実験箱に入れた。そしてもう一種類の生命体を別の実験箱に。 もう一種類の生命体が食糧を獲得した時だけ、鍵が一つ開くように仕掛けをして、彼はその場を離れた。 単純な仕掛けなのだが、何故そこに気が付かず、この生命体は意味不明な行動を繰り返すのだろうか。  この星の書物によると、それは迷信、と呼ばれているようだが……。どうにも理解し難い。同じような実験を、この生物が別の生物に対して実行したという記録もあるのだが。  やはり、この星には、我々と同程度の知能を持った生命体はいないようだ。コンタクトを取るまでもない。  こうして、彼はモニタリングをやめた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加