白い部屋

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 つまり。お互いの身体に触れることがきっかけになっているのだろうか。そう考えて、お互いに様々な所を触り合った。  頭、腕、肩。綾は嫌がっていたが、お腹、お尻なども含めて。もちろんいやらしい感情はなかった。ほんの少ししか。  しかし、その後鍵が開くことはなかった。  あと、触っていない所はどこだ。俺は一つ思いついたところがあったが、さて、どう切り出したものか。  「あのさ、胸触らせてくれない」 迷っていても埒が明かないので、正直に言ってみた。  「ば、馬鹿じゃないの? 頭おかしくなったの?」  綾は軽蔑の眼差しを俺に向け、胸の前で腕を固く組んだ。まあそりゃあそうか。でも俺は諦めない。  「いや、そうじゃない。最初は抱きしめた時に鍵が開いた。次は手が触れた時だ。ということは身体に触れることが鍵になっている可能性は十分にあるだろう。そ、それに胸なんて脂肪の塊だ、邪魔だって言ってたじゃん」  「それは短距離走の時の話よ! 死ね!」  しかし、ここで引くような俺ではない。もうここまで言ってしまったのだから、押し切るしかない。  「このままだとここから出られずに二人とも飢え死にだぞ! ここから出るために可能性があることは全て試したいんだ!」  飢え死に、という言葉にびくりとした綾は、しばらくの逡巡の上、ついに観念した。  これはここを出るために必要、これはここを出るために必要、これはただの脂肪の塊、何の意味もない、などとつぶやきながら、顔を真っ赤にして組んでいた腕を解いた。
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