白い部屋

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 ここで、俺はある仮説を立てた。ここはよく漫画なんかで見る、……しないと出られない部屋という奴なのでは?  自分でも馬鹿げた考えだとは思うが、これまでの行動を考えると、手を触れる、抱きしめる、胸を触る、という行為で鍵が開いたのだ。これがもし、二人が男女の関係になるまでの経過で、少しずつ鍵が開いていくのだとしたら、あと二つは……。もう頭の中には答えがあるが、どうやって綾に納得してもらえばいいのか。  「よし、冷静になって聞いてくれ。 俺はここから出られる方法を思いついた」  あくまで平静を装って、俺は切りだした。  「本当? また変なことじゃないでしょうね」  綾は先程のことで懲りているのか、俺が喋り出しただけで警戒心剥き出しだった。  「あくまで可能性だ。でも、これまでのことを考えると結構確率は高いと思っている」  「もったいぶらないで早く言ってよ」  綾はちょっとイライラしているような反応だった。  「あくまで可能性だからな? 俺とキスしてくれ」  「はぁああああ!? な、なななにを言ってるのよ!」 「頼む、俺を信じてくれ。このことはもし出られたとしても、絶対他人には言わない。もし間違っていたら、俺を何発殴ってもいい」  「嫌よそんなの! 私に何のメリットもないじゃない!」  しばらくの間押し問答が続く。  「わかった、フリ、フリだけでいい。もしかしたらそれでなんとかなるかも知れない!」  「フリってあんた、どこまでのこと言ってんのよ! 絶対嫌よ!」  どうしようもなくなって、最終的に俺が土下座をして頼み込んだところで、ついに綾が折れた。 「もう、わかったわよ……。このままだと二人とも死んじゃうかも知れないもんね……」
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