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なぜ、今自分は恋人ではない2つ年下のとても美人と一緒にいるのだろうか。
玲は目の前に座る美人を見ながら記憶を思い返してみる。
それは今から約15分くらい前に遡る。
2つ年下のとても美人こと、明澤ひかりとは電車の中で出会った。彼女はトートバックと担当楽器のフルートを抱えながら、地元の情報誌を読んでいた。何気なく声をかけてみたところ、たまたま彼女が読んでいたページには、ここから二駅先にあるオシャレなカフェの記事が記載されており、スイカをくりぬき器にしてその中にアイスクリームやたくさんの果物が詰まっているパフェの写真があった。そして、ご丁寧にも、「このパフェを食べると夏の恋が叶っちゃうかも」というフレーズが書かれている。
「なんか、恋の願掛け的なパフェあんのな。」
「そうですね、でも、私…このパフェ食べたいなって。」
「へー、なんで?」
「単にすごく美味しそうじゃないですか?」
『まぁ、君は恋だの愛だので揺さぶられるような女の子じゃないよね。』
明澤ひかりは、色素の薄い栗色の髪の毛に緩やかなウェーブが掛かっている。顔は誰もが可愛い!と言いたくなるような子だ。だけど、守ってあげたくなるような雰囲気はなく、とても賢そうな顔つきだ。
良くも悪くも自分の意思で動くタイプだ。
こんな美人なのに、全く恋愛感情は沸かない。
『オレは美人が好きなのに。』
「けっこうお値段ははりますけど、カップルで行くと1000円割り引いてくれるんですって。」
「へー。」
単に彼女に興味が湧いたのだろう。
恋という感情や友情という感情ではなく、ただ、彼女の人間性に興味が湧いた。
「オレと一緒行く?」
「…え、でも…」
「偽装カップルしね?」
「いいんですか?」
「いいよ!」
「でも、先輩の恋人さんに…なによりも、受験生ですよね…」
「いいよ、今はフリーだから。大丈夫、オレ美大目指してんだけど、ひかりちゃんを見てるとデッサンのインスピレーション湧きそうだし。」
彼女からはひしひしと強さと気高さを感じる。
「なら、ぜひ…」
ひかりと一緒に途中下車をして乙女心くすぐるであろうカフェを目指すことにした。
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