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将生
「あれは、田岡君を動かすための嘘ではなく、本心だったというのですか?」
勇樹
「そうです。私は、もう随分と長い間、第二秘書として、日々過ごしてきました。
先代、先々代の第一秘書が引退しても、決して第一秘書になることなく、ずっと第二秘書のまま、毎日毎日。」
昌宏
「第二秘書であることが、不満だったと?」
勇樹
「いいえ、そういうことではありません。
栗原総理の第二秘書としての業務は、手配が中心でした。色々な手配をしている中、幅広い人脈もできましたし、各方面から色々な情報も得ることができました。
この人脈や情報のお陰で、今回の我々の密計も成立できたのですからね。」
昌宏
「それで、引退を決意された理由というのは?」
勇樹
「ああ、すいません。話がそれましたね。
引退を決意したのは、もう随分前です。
栗原総理の政治のやり方に、嫌気をさしてましてね。
『クリーンな政治、クリアな政治』
と言っていますが、これは単なる、他の議員への脅しでしかありません。
しかも、実績のある脅しだ。先代の総理大臣の不正を暴いて決まったのですから。」
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