会話

8/19
前へ
/435ページ
次へ
将生 「あれは、田岡君を動かすための嘘ではなく、本心だったというのですか?」 勇樹 「そうです。私は、もう随分と長い間、第二秘書として、日々過ごしてきました。 先代、先々代の第一秘書が引退しても、決して第一秘書になることなく、ずっと第二秘書のまま、毎日毎日。」 昌宏 「第二秘書であることが、不満だったと?」 勇樹 「いいえ、そういうことではありません。 栗原総理の第二秘書としての業務は、手配が中心でした。色々な手配をしている中、幅広い人脈もできましたし、各方面から色々な情報も得ることができました。 この人脈や情報のお陰で、今回の我々の密計も成立できたのですからね。」 昌宏 「それで、引退を決意された理由というのは?」 勇樹 「ああ、すいません。話がそれましたね。 引退を決意したのは、もう随分前です。 栗原総理の政治のやり方に、嫌気をさしてましてね。 『クリーンな政治、クリアな政治』 と言っていますが、これは単なる、他の議員への脅しでしかありません。 しかも、実績のある脅しだ。先代の総理大臣の不正を暴いて決まったのですから。」
/435ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加