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指と唇1
少しだけ布のこすれる音が聞こえる。
ベッドの上の女は少々息があがっていた。
薄暗くて見えないはずなのに、女の頬が色付くのを感じる。
その原因は、彼女の前にある膨らみのようだ。
「ねぇ…そんなに、そこばかりいじって…楽しいの?」
女は不意にやってくる不安げなものに耐えながら呟いた。
それは静かに訪れを待つ声にも似ていた。
「なんだよ、俺は充分楽しいさ。
この小さな乳首をいじる楽しみを俺から奪ってまで何がしたいんだよ、チサトは。」
布団の膨らみの中で男は彼女の乳房…いや、乳首だけを愛撫しているようだ。
チサトの体はビクンと跳ねる。
「そうじゃないけど、そこばっかいじったら…っ!
おかし…っくなる…っん!」
チサトの本心に違いないその言葉に男は一瞬動きを止める。
男は仕方ないというように布団をどかした。
チサトは安堵の息を漏らしてずれていた寝巻きを脱いだ。
男の方も移動してチサトに背を向けて服を脱ぎ出した。
チサトはパンツ一枚でベッドの上に座っている。
その隙は彼の狙い通りであり、彼はこの瞬間、狩猟動物と違わない気配の消し方で彼女の後ろに立った。
古典的とも言える薬を染み込ませたハンカチを彼女の口に当て、彼は弱々しい抵抗をする彼女が脱力する瞬間を待った。
その時は呆気なく訪れ、彼は女性的な艶を思わせる笑みを浮かべて彼女に呟く。
「チサトはどうなってくれるのかな?
楽しみだね…。」
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