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指と唇12
男はチサトに服を着せようとしている。
「暴れたりしたら、わかってるよな?」
チサトはブルっと身震いをした。
男はチサトの手首の拘束を解くとすぐに腕を袖に通させる。
するとすぐに手首に新たな拘束具がついた。
革製らしいベルトにチェーンが付いているらしく、先ほどまでの拘束に比べると、いくらか余裕を感じる。どうやらワンピースらしいその服を男はチサトにかぶせた。
首がポンと出る。
すると今度は首に首輪を付け始めた。
この首輪と手首のベルトは連動しているらしく、腰より下に手を下ろせないようにしてあるようだ。
「チサト、目隠しを外すぞ。」
そういうとチサトの目を塞いでいた布を外す。
そこには最後に見た時と同じ顔があった。
安堵しているのか、絶望したかわからないで、チサトは涙を流した。
何が本当で、何が嘘なのか…薄暗い部屋の中、チサトの頬に触れる男の優しい手だけが答えを知っているように思う他なかった。
「目が慣れてきたら、リビングに行くぞ、立てるか?」
男はチサトに手を貸してチサトを立たせた。
瞬間チサトは硬直した。
立つ瞬間、チサトのアナルに入っている何かに刺激されてまともに立つことが困難なのだ。
その様を見た男が笑った。
チサトは驚愕せずにいられなかった。
今までその男に見たことのない表情。
普通の人間がその顔をしたらきっと醜悪にしか見えない表情も、彼がすれば整った中性的な顔もあいまって、冷たくも美しく、且つ妖艶な表情へと変貌した。
チサトはその表情に驚愕しながらも、不思議と納得する。
そうか、彼の本当の姿とは、この姿なのだ、と…。
「チサト、どうかしたのか?」
男は心配そうにチサトの顔を覗き込む。
でもチサトにはわかっていた。
彼は本当に心配そうな表情をしているだけで、本当は全部わかっているのだ。
チサトはここで懇願するべきで無いと思った。
「なんでも…、ない……。」
「そうか、じゃあこっちだ。」
男はチサトの手を取り、引っ張る。
チサトは引かれて歩くたびに体を震わせて耐えていた。
首は動きに合わせて手首について行く。
その時、男はあの表情を浮かべ愉悦に浸った。
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